早稲田大学デモクラシー創造研究所
(旧マニフェスト研究所)
組織人材マネジメント調査2024 テーマ分析​

人事配置・適材適所

問題提起

  •  人事異動の目的として、「幅広い業務経験を通じた人材育成」との回答が多かったが、実情はマンパワー不足の調整、関係性の不和解消、素行に問題のある職員とのバランスなど、組織都合の理由も多い。特に若手職員にとって、キャリア形成は大きな関心事。ある職員の異動を考えるとき、担当業務に関する「資質・能力、適性があるか」のほか、「本人がその担当を希望しているか」という要素も大きい。組織都合の「我慢」を強いるやり方では、モチベーションダウンや退職、転職につながりかねない。
  • 人事異動は「ひとごと(人事)」ではなく「おおごと(大事)」である。定期的なジョブ・ローテーションでは、配属理由が説明されず「なぜここに?」と悩むことも多い。前職場の所属長が異動の意図を伝え、職員が「意味のあること」「次につながるもの」と捉えられるよう意味付けする努力が管理職や人事担当に必要だ。
  • 配置の検討や説明、組織全体で適材適所に近づけるためにも、個人の資質・能力のデータ利活用を推進すべきである。調査では、タレントマネジメント・システム導入の費用面を聞いている。1千万円単位の事例もあれば、200~300万円程で導入した例もあるので、さまざま検討されたい。
    【キーワード】 適材適所、職員のキャリア開発、ジョブ・ローテーション、外部データ活用

大谷 基道・獨協大学教授コメント

「希望業務に就ける工夫を」

限られた人的資源を最大に活用するためには、適材適所の人事配置が不可欠である。また同時に、職員のパフォーマンスを最大化するには、モチベーションを高く保てるような工夫も必要であり、そのためには希望する業務に就けるようにすることも重要である。ただし、希望する部署=能力を最大限に発揮できる部署とは限らない。人事評価により職員の能力を正確に把握し、本人が納得できるよう十分に説明したうえで、適材適所とモチベーションの最大化を両立できるような人事配置を行うことが望まれる。そういった意味は、北九州市の取り組みは注目すべきものと言えよう。

【略歴】茨城県職員等を経て2016年から獨協大学法学部教授・法学部長。専攻は行政学・地方自治論

[人事配置・適材適所]
ランキング

順位 自治体名 得点率 特徴
1位
桑名市
82.1%
繁忙期を考慮し年度内に複数回、人事異動を実施。職員の希望をできるだけ反映。
2位
北九州市
78.6%
自発的に挑戦する職員は、所属長の意見も加味のうえ、希望部署へ優先的配置。
3位
塩尻市
67.9%
技術系職員はジェネラリストとスペシャリストを選択する複線型人事制度*を導入。
岩手県
採用10年程度は多様な業務従事と、全庁に関わる企画・予算等の業務へ配置。
長野市
課題対応や人員補強のために年度内に複数回の人事異動を行っている。
和光市
定期異動を年度初め以外にも実施(定期異動)。職員の希望もできるだけ反映。
町田市
繁忙期の対応として、その時期に税部門等へ他部署から応援職員を柔軟に配置。
笛吹市
若手2~3年、中堅3~4年という基本的な異動サイクルの中で、適材適所を工夫。

※同得点の場合は同順位とし、それ以降の順位は繰り下げています。
※ランキング上位の特徴を取り上げ、全国自治体での底上げをすることを目指しており、上位団体のみを公表しています。
※複線型人事制度…「マネジメント職か専門職」のようにキャリアコースが複数ある人事制度。単線型と比べ職員のキャリア形成の余地が広いため、業務の専門性に対応する人材の育成や、所属長に適性のある人材の抜擢など、成果創出や組織開発につなげることができる。

ランキング上位の取り組み

  • ランキング上位の多くでも「幅広い職務経験を積む」「職員の希望もできるだけ反映」を重要視し、工夫において「複線型のキャリア選択」が可能との回答が多かった。
  • 調査結果から推測するに「自治体職員の育成=ジェネラリストの育成」という考え方の一端はうかがえる。「どんな職員でも、どこの職場に行っても働ける」(最大動員)ことで組織運営上のメリットは大きいが、現在の自治体を取り巻く「個々の職員のキャリア形成」「業務の複雑化・専門化」が求められる状況に対し「ジェネラリストを育成すれば十分か?」という問いかけは必要だろう。
  • また、自治体の現状を表す回答として、「地方公務員においても転職活動が活発であり、年度途中の人員減による影響を緩和するために年度途中でも異動を行うことがある。また、休職・離職の防止策として、特に困難な状況にある職員は異動希望をできるだけ反映しようとしている」との自由回答があった。直面している現実だろう。
  • 調査結果から、人事配置のあり方が硬直化している面がみられる自治体と、危機感を持って改革を進めようという自治体に分かれている。特に小規模自治体は職員の余裕も余力もなく工夫や改善につなげづらい現状はあるだろうが、「配置の理由は不明」「異動はブラックボックス」という旧来の自治体文化を超え、一人ひとりのキャリア形成や適材適所を実現する仕組みを導入していけるかが問われている。

異動対象職員の「能力の有無」×「異動希望の有無」の4象限による類型

設問ごとの分析

【設問22 人事異動・配置で重要視していること】 ※グラフは6位まで

▼分析・コメント

  • 「幅広い職務経験を積む」が75.5%で1位。「職員の希望をできるだけ反映」は42.0%、「政策・課題解決から優先順位を決定」は41.1%
  • 一方、「職場・現場の不和やネガティブ反応の解消」との回答は44.0%で半数近く。「首長の意向を重視」している自治体は16・6%あった。

【設問23 個別の人事異動・配置の取組】

▼分析・コメント

  • 「職員からの異動希望はできるだけ反映」が55.9%と半数を超えた(前問の数値とギャップがある)。つづいて「特定の部署は経験・ノウハウ定着のため在職期間が長い」が34.3%だった。
  • ほかに「随時異動(年間に複数回実施)」は11.8%(73件)、「複線型人事のキャリア選択ができる」は7.2%(45件)、「全庁的に異動までの期間を長くとっている」とする自治体は2.9%。

工夫された取組①:【技術職での複線型人事の導入】塩尻市へのインタビュー

  • 複線型人事を技術職から導入している。保健師は2023年度検討、2024年度に導入。土木職は2024年度検討、2025年度から開始。一般職にも2026~27年度には導入する予定である。
  • 導入には準備期間を3年ほどかけている。なぜなら、配置基準を明確にしておかないと、「マネジメント職を担うジェネラリストになりたくない職員たちの逃げ道」としてスペシャリストを希望する人達が出て来てしまう可能性もあるからである。職毎の配置基準、適正職員の見極め、選考基準、そして配置後の浸透ときちんと計画立てていく必要がある。

自治体規模別の分析とコメント

自治体規模の大小によって傾向の違いは見られるのか?を比較検討している。
※「全体」の回答割合の大きさで左から掲載順をソートしている

▼分析・コメント

  • 「異動希望の反映」は、「区」「市」で6~7割が当てはまると回答。一方、「町」「村」では3~4割程度と回答。ほか、「複線型人事のキャリア選択」は「都道府県」「区」で25%程度が実施。
  • 「年間に複数回異動(随時異動)」は「都道府県」と「市」でやや多い。

※「わからない」「回答できない」などは分析に有益ではないのでカットした

▼分析・コメント

  • 「幅広い職務経験を積む」は「都道府県」「市」でやや多く、「村」では少ない。
  • 「職場・現場の不和やネガティブ反応の解消」は「区」で多く、「都道府県」が非常に少ない。「都道府県」は「専門的な経験・知識の蓄積」が非常に高い。なお、「専門的な経験・知識の蓄積」は「村」が非常に少なく、「区」も低い。
  • 前述だが、「職員の希望反映」は「区」で多い。また、「政策・課題の解決から優先順位を決めている」とする回答も、「区」で多い。「首長の意向を重要視」しているのは、「村」で45%程度。「区部」は、人事異動や配置の裁量や工夫が多い印象。

実際にどのような工夫がされているのか?

設問24より:工夫された取組の紹介と自由回答の抽出

人事異動や適材適所に向けた仕組み・制度の工夫

  • 福島県 田村市:人事係職員と全職員の1on1面談を実施(3年で1周ペース)し、異動希望やキャリア意向に関する精緻な情報把握に努め、その結果を人事異動・配置に反映している。
  • 埼玉県:人事異動の基本方針となる「人事異動方針」において、人財登用の考え方を定めている。その中で、配置に当たって考慮すべき事項も定めている。
  • 新潟県 柏崎市:その年の業務課題等に対応するため、人員配置方針を策定し具体的な人事異動の考え方を明確にしてから人事異動業務を行っている。
  • 神奈川県 茅ヶ崎市:職員個人を対象とした意向調査に加え、職員課長等が年1回、部局長にヒアリングを実施し、各部局の業務、人事上の課題、人事配置の希望を踏まえて人事配置を検討している。
  • 静岡県 浜松市:人事異動の基本方針は以下。
    ②本庁の課長以上及び区役所の課長以上については、業務運営の継続性及び専門性の観点から、職の必要に応じて3年程度の在職を目安に、異動の対象とする。③採用後10年又は35歳までの期間を能力育成期とし、事務職員、技術職員、専門職でそれぞれ異動方針を定めている。④その他職員については、5年を目安としたローテーションを基本とする。
  • 京都府 京都市
    2 重要課題への迅速かつ柔軟な対応
    ○ 抜本的な行財政改革や都市の成長戦略の推進など、喫緊の重要課題への的確かつ迅速な対応
    ○ 年度途中の昇任・異動の積極的な実施
    ○ 積極的な前倒し採用及び採用後2年以上経過した職員の年度途中異動の実施
  • 奈良県 奈良市
    ・人材管理システム(令和6年度~)を用いた、職員の人事考課結果・研修履歴・保有する資格や能力の可視化と、それらのデータによる戦略的な適材適所の人事配置実施・入庁から10年で3部署(分野ごと)程度を経験できるようなジョブローテーションの実施(令和6年度~)
    ・庁内公募を活用した、プロジェクト単位での働き方を推進(令和6年度~)
    ・職位に相応しい能力を有するかの審査を行ったうえで昇格および任用を行うための昇任試験の実施
    ・キャリア形成について考えるためのセミナーの実施・役職者をサポートするためのコーチングやキャリアコンサルティング
    ・昇任の意欲や取り組みたい分野についての把握を行い、人材配置の参考にするための自己申告制度
  • 福岡県:年度中途の緊急な行政課題や懸案事項、突発的な業務増等に対して、当該課題等を所管する所属に、同一部内の職員を兼務発令することによって対応できるよう、部長が主体的に人事配置できる仕組を設けている。
  • 鳥取県 鳥取市:繁忙期対応は部(局)内での兼務による応募を基本とし、人事異動に頼らない体制整備を行っている。
  • 島根県 浜田市:職員自らが考えるキャリアの実現が離職防止への一つの対策であるため、組織が健全に運営できることを前提に職員の前向きな異動希望はできるだけ反映しようとしている。
  • 島根県 益田市:職員のやる気を引き出すため、配属希望のプレゼンテーションの機会を設けている。
  • 岡山県 美咲町:若手は2年、ベテランは5年程度を基本とする。
  • 福岡県 北九州市
    ●研修受講や資格取得など、高い目的意識を持って自発的にチャレンジを重ねる職員は、自己研鑽を後押しするため、所属長の意見等を加味した上で、希望の部署(分野)へ優先的に配置する。
    ●職員の私的事情(介護、育児、妊娠、心身の状況等)は、必要に応じて丁寧に対応する(勤務地、勤務形態等)
    ●採用後10年間(育成期)は、仕事の質や分野が異なる部署を3~4程度経験させる。また、採用区分・年齢・業務の習熟度により、短期間でのローテーションによる異動も行う。
    ●育成期終了後は、3年を目安とするが、特定分野に適性を有し、その分野で高い能力を発揮することが期待される職員については、本人の意欲やキャリアプラン、業務上の必要性等を考慮した上で、育成・活用を図る(3年を超える配置など)

ジョブ・ローテーションや人事配置の工夫

  • 岩手県:広い視野と高い専門性を持ち、課題解決や業務のマネジメントに当たることができる職員を育成するため、事務系職種については、採用から 10 年程度は本庁・出先機関や公共部門・非公共部門など多様な業務に従事することに加え、全庁に関わる企画・予算・管理業務へ計画的に配置するジョブローテーションを実施。 さらに、専門職種の専門性を高めるとともに、企画や予算などの業務を経験させることにより、部局の枠にとらわれず、全庁的な視野を持ち、県政課題に対応できる職員を育成。
  • 岩手県 一関市:キャリア形成としてスペシャリストとゼネラリストの希望を適性希望調書にて把握し、人事異動や配置の参考としている。
  • 福島県 郡山市:若手期はジョブローテーション、中堅期は専門分野の深化ができるキャリアデザインへの配慮の上、配置を行っている。
  • 東京都 港区:基礎自治体の基幹業務又は恒常的な課題を抱える業務において、知識・経験の蓄積に基づいた事務処理及び課題解決をすることができる職員をスペシャリストとして認定し、専門能力の伸長及び活用を図る配置管理をしています。
  • 石川県 金沢市:毎年職員から提出させる自己申告書において、異動希望課所のほか自己適性を選択させるほか、主査級以上の職員には今後のキャリアプラン(異動希望等)として、スペシャリスト/ゼネラリストを選択させている。また、例年、組織の活性化及び職員の意欲向上を図るため、庁内公募による配置を実施している。
  • 静岡県 静岡市:職員のモチベーション維持を目的に異動希望をできるだけ反映している。また、一定の行政経験を積んだ職員が、自ら主体的に「働き方のパターン」を選択することにより、自身の特性や仕事に対する考え方を活かした能力の伸長を可能とすることを目的として、複線型人事制度【人材育成型キャリアパス】を導入している。
  • 香川県 高松市:特定の業務分野・内容に精通したスペシャリストを目指す制度として、公募制人事異動を実施している。

職員の希望の反映や「公募型人事」

  • 茨城県 水戸市:プロポーザル異動の実施。
  • 群馬県 伊勢崎市:人事異動を人事担当課主導で実施しているが、令和6年度から公募型の人事異動を試行している。
  • 埼玉県 さいたま市:
    ・複雑・多様化する行政需要に対応し、より効率的な市民サービスの向上を図ることを目的に、特定の職務分野に精通した職員を配置・育成するスペシャリスト専任職制度を実施した。
    ・自ら挑戦する意欲のある職員の希望を尊重し、士気の高揚を図るとともに、職員の持つ能力を様々な分野で発揮させるため、庁内公募による配置を行った。
  • 東京都 練馬区:人事配置は原則、組織事情により行っているが、やる気のある職員等を活用するため、公募型の人事異動も行っている。(①若手職員育成型、②ベテランを対象とした専門分野特化型)
  • 神奈川県 横須賀市:職員のモチベーションを上げる取り組みとして、FA制度(手上げ方式による異動先を選択できる制度)や専任職制度(一定期間専任で従事することを可能とする制度)を導入している。
  • 愛知県 名古屋市:職員が自らキャリアプランを立て、成長意識を持って能力開発に取り組むとともに人材の有効活用、組織の活性化などを図ることを目的として、広く庁内から適任者を募る庁内公募制度や立候補型異動希望申告制度を運用している。
  • 熊本県 熊本市:職員本人の異動希望をできるだけ反映させることで、適材適所の人事配置及び職員のモチベーションアップを実現させ、組織全体のパフォーマンスを向上させたいと考えている。また、自己申告書にキャリアについての設問を設定し、本人のキャリア志向に沿った人事異動を行うことで、人材育成につなげていくこととしている。
  • 熊本県 玉名市:若手職員にはジョブローテーションを徹底することで、様々な部署で経験し、市職員として成長を促している。あわせてキャリア研修を実施することで、将来の自分のキャリアを描けるよう支援している。

工夫された取組②:【課を横断した柔軟なチーム】長洲町へのインタビュー

  • コロナ禍を経て、課を横断したチームが機能している。コロナの予防接種時、ほぼ全職員がその対応に当たらなくてはならず、その経験から、小規模自治体ながら繁忙期には他部署からの応援という仕組みが出来上がった。
  • 具体的には、確定申告。税務課は確定申告時には多忙になるがそれ以外の時期はそこまで忙しくないため、戦略的に人材を少なく配置している。繁忙期には税務課のOBに併任辞令を出し、OBがチームを組み、チーム内でのスケジュール、所属元のスケジュールを照らし合わせ誰がいつ応援に行くか決める仕組みになっている。OBということで、業務に関しては即戦力となる。更にOBチーム内でコミュニケーションが円滑になり、毎年の応援が円滑に進んでいる。確定申告以外では、マイナカードの普及にも課を横断したチームが立ち上がった。

 工夫された取組③:【緊急業務に対応する応援体制】静岡県庁の事例

  • 一時的な業務繁忙に対応するため、2017年度から庁内職員による応援チーム「業務支援チーム」を設置。派遣される職員は20代後半から30代前半で、採用7年程度、2~3か所の部署を経験し実績のある人材を数名選抜。「経営管理部行政局付」に配属され、1年で異動。局人事課の判断で、1人につき3か月ごと、緊急事態が発生した部署へ配置される。
  • 部署側は、会計年度任用職員では担えない起案や会計手続きが可能で、業務にも深く関与できる即戦力として活用できる。単年度中途までの一過性集中業務の対応には効率的に機能する。
  • 人材育成面の面でも効果的。対応するのは懸案課題のため、上司は施策推進能力の高い人が多く、派遣された職員にとっては重要施策の経験を効果的に積め、能力開発やキャリア形成の一助に。その意味で、単なる業務量の多い部署に活用するより、課題性、政策性の高い業務への活用が望ましい。

※出典:『デジタルを活用したレジリエントな組織体制に関する調査研究』(2025年3月、一般財団法人地方自治研究機構)P23-39の山中 雄次氏(広島修道大学 国際コミュニティ学部 准教授)資料より抜粋。一部詳細については、管理職経験のある元県庁職員へメールによる聞き取りを実施。

人事配置の問題・課題は何か?

一部、困難な状況について貴重な生の声として紹介したい。

人事配置の現場の声

  • 「メンタル不調による病気休暇・休職者が増加する中、なるべく職場環境を整えられるよう配慮しながら人事配置を行っている。一方、そのような状況のため、結果として在籍期間が長くなる職員が多くなってしまうこともあり、苦慮しているところである」
  • 「人員不足のため、兼務をかけて一時的な繁忙に対応することがある」
  • 「地方公務員においても転職活動が活発であり、年度途中の人員減による影響を緩和するために年度途中でも異動を行うことがある。また、休職・離職の防止策として、特に困難な状況にある職員は異動希望をできるだけ反映しようとしている」

職員の希望実現の難しさ

  • 「個人の希望また個人の特性から配置を行っている。昨今は専門的知識が必要とされる部署も多いため異動に勘案している」
  • 「全職員から異動希望調書を提出してもらうが、希望に沿った異動は実現できていない」
  • 「若手職員に経験を積ませるジョブ・ローテーションを意識したものとする一方で、円滑な行政運営のためには、該当する全員を異動させることは容易ではない」

設問25 異動・昇進・昇格の判断にデータを利用しているか?

▼分析・コメント

  • 設問25「異動や昇進・昇格の決定プロセスで外部テスト等のデータ利用」では、「利用していない」が6%で多数。「部分的に利用」が40.3%、「主要な判断材料として利用」は2.1%だった。
  • これまで「経験や勘」でなされていた人事を、データを活用することで「納得」に近づけることができる。取捨選択は必要だが、データは多すぎて困ることはない。

テーマ分析レポート

人事配置・適材適所(2025/06/03からダウンロードができるようになります※)

調査概要

□ 調査方法等
全国1788自治体(都道府県・市区町村)の人事・総務担当に対し、①人事・総務担当のメールアドレスを把握している1039自治体へメール、②全自治体へはがきにて依頼文を送付。ウェブフォームにより回答を収集。

□ 調査期間
2024年8月5日(月)~9月20日(金)

□ 有効回答数
652回答(回答率 36%、都道府県:55%、政令市:85%、一般市:49%など)

□ 調査項目
人事施策のうち、①採用・人材確保、②人事配置・適材適所、③人材育成・研修、④人事評価、⑤首長・経営層の関わり、⑥デジタル活用・HR-Tech、⑦その他(問題・課題)、について全47問を聞いている。

□ 調査の特徴
自治体の人事はある種の「聖域」という文化があり、工夫の余地が少なかった。そのためどのような工夫をしているかを中心に聞いている。なお、弊所基準による得点化を行い、ランキングを回答自治体には送付する予定。自組織の位置づけや先進自治体のベンチマークに用いることができる。

自治体の皆様へ

この度は、お忙しいところ調査への回答ご協力誠にありがとうございました。
お取り組みに活用していただけるように、2024年10月29日付で、回答いただいた全ての自治体様宛に下記のものを送付していますのでメールをご確認ください。

□ レーダーチャート
トップの自治体、平均、ご自身の自治体との比較が分野ごとに可能です。客観的・視覚的に立ち位置を知ることにご活用ください。

□ 個別データ票
取り組みを数値化、得点化(順位)したものを一覧にまとめています。自治体区分(都道府県、政令市など)の中での順位、「採用・人材確保」「人事配置・適材適所」「人材育成・研修」「人事評価」「首長・経営層の関わり」「デジタル活用・HR-Tech」の各テーマごとの重点設問での得点などもご確認いただけます。

「地域経営部会」のご案内

自治体組織の課題を取り上げ、解決に向けた研究の場です。
ご関心がございましたら、お問い合わせください。

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